GDevelop 5.3 がリリース!なので、ここ最近(2023年1月~2023年11月)の GDevelop バージョンアップまとめ
11月なのに1月を「ここ最近」と言い張る度胸w
さて、10ヶ月ぶりという逆に中途半端なタイミングでのバージョンアップ記事ですが、ちょっと今年の GDevelop の変化は凄まじすぎるので、GDevelop 5.3 がリリースされたこのタイミングで一度振り返っておく必要があるなと思い書くことにしました。(やる気があるときにやらないとね🤤)
具体的には v5.1.156 から v5.3.180 までの 24 回分の詳細を……書けるわけないので、超ざっくり重要そうな点のみピックアップしたいと思います。(時系列無視、重要だと思うもの順)
3D に対応しました![v5.1.162][v5.2.165]
なんといっても最大のビッグニュースはこれでしょう。
GDevelop は 2D ゲームエンジンの使いやすさをそのままに、3D も扱えるようになりました。
もちろん Unity や Unreal Engine などと比べると 3D の表現力や機能は劣りますが、それでも 3D が扱えるようになったことで、制作できるゲームの幅は格段に広がりました。
既にライティングやモデルアニメーションだけでなく、2D でお馴染みのパーティクルや Tween、そしてレイキャストも拡張機能で 3D 対応されています。
シンプルでカジュアルな 3D ゲームを制作する際に、難解な既存の 3D ゲームエンジンではなく GDevelop が採用されるということも今後は増えていくかもしれません。
すぐに使える便利なオブジェクトが追加されました。[v5.1.157]
- マルチタッチジョイスティック
- パネルスプライトボタン
- スライダー
- 切り替えスイッチ
- リソースゲージ(連続)
- リソースゲージ(単位区切り)
それぞれ選択すると既存のデザイン一覧が表示されますが、もしそこに気に入ったデザインがない場合は「スキップしてゼロから作る」ボタンを押せば、自由に設定できますよ😉
なお、これらは正式には「カスタムオブジェクト」という拡張機能によって提供されるオブジェクトです。
そのため、これらを追加すると自動的に拡張機能がゲームに追加されます。
変数へのアクセスが劇的に簡単になりました![v5.2.175][v5.2.176]
式で変数を使用する構文がとてもシンプルになりました。
例えば……
今まで ⇒ Variable(シーン変数名) + 1
新構文 ⇒ シーン変数名 + 1
という具合に、わざわざ Variable() で囲う必要がなくなりました🎉
もちろんグローバル変数やオブジェクト変数も同様です。(グローバルとシーンに同名の変数があると破綻するっぽいので注意してください)
今まで ⇒ オブジェクトA.Variable(オブジェクト変数名)
新構文 ⇒ オブジェクトA.オブジェクト変数名
※ オブジェクトグループでも含まれる全てのオブジェクトで変数が宣言されていれば利用できます。
さらに、ToString() を記述する必要もなくなりました👏
今まで ⇒ "点数:" + ToString(Variable(点数))
新構文 ⇒ "点数:" + 点数
便利すぎぃ!(今までがヤバかったのでは)
ただし、この構文は変数エディターで宣言(追加)されている変数でのみ機能(オートコンプリートに表示)します。
なので、常に変数は変数エディターで宣言しておくことが推奨されています。
また、変数エディターで変数の名前を変更すると、既にイベント内に記述されている変数名も自動的に変更されます。
これにより変数名を変更することが非常に簡単になります。
ただしこの変数名変更は、構造体または配列の子の変数には機能しないので注意してください。
文字列の条件演算子に「前方一致」「後方一致」「含む」が追加されました。[v5.2.178]
SubStr() とか使わなくても良くなりました楽ちん👍
Tween が色々と改善されました。[v5.2.178]
特に影響が大きいのは、Tween の時間が「ミリ秒」ではなく「秒」に変更された点です。
(GDevelop は秒での指定が基本なので統一されました)
なお、この刷新された Tween アクションは、これまでのアクションとは別物なので、既に作成済みのゲームを修正する必要はありません。
MouseX() と MouseY() 式は非推奨になり、代わりに CursorX() と CursorY() の使用が推奨されるようになりました。[v5.1.156]
まだ MouseX() と MouseY() は利用できますが、これからは CursorX() と CursorY() を使用するようにしましょう。
オブジェクトをフォルダ分けできるようになりました。[v5.2.178]
オブジェクト名や変数名に日本語が使えるようになりました。[5.2.171][v5.2.178]
正確には Unicode が使えるようになりました。
なので日本語以外にも絵文字なども使えるようになっています。
ちなみに、この機能は v5.2.178 から正式採用され、有効にするために環境設定で設定変更する必要はなくなりました。
変数エディターが色々と改善されました。[v5.2.175]
文字列は大きな入力欄で設定することもできるようになりました。
これは、長い文字列を設定したい場合や、改行を含ませたい場合にとても便利です👍
他にもパフォーマンスの改善などがおこなわれました。
衝突マスクとポインターのエディターが色々と改善されました。[v5.1.156][v5.1.162][v5.2.167]
スペースを押しながらドラッグすることで、キャンバスをドラッグできるようになりました。(俗に言う手のひらツール)
衝突マスクの境界をクリックするだけで頂点を追加できたり、頂点同士をくっつけると削除できるようになりました。
また、衝突マスクの初期状態は、画像の透過部分を無視した大きさで設定されるようになりました。(従来どおり画像全体を衝突マスクに設定することもできます)
パーティクルエミッターに「作成時に時間を進める(秒)」プロパティが追加されました。[v5.1.160]
このプロパティを設定することで、設定した秒数分経過した状態でオブジェクトが生成されるようになります。
また「エミッターの時間を進める」アクションも追加されています。
スプライトのアニメーションを逆再生できるようになりました。[v5.2.175]
「アニメーション速度スケール」アクションでマイナスの値(例:-1)を設定すると逆再生されるようになりました。
ゲームに GDevelop の透かしを入れられるようになりました。[v5.1.157]
ゲーム画面内に↑こんな感じの透かしを表示させることができるようになりました。
これをクリックすると作者のプロフィールページに飛ぶことができます。
え?じゃま?大丈夫、ゲームプロパティの「ブランディングとロード画面」から消すこともできますよ😉
ブラウザ版でも Piskel(画像エディター)、Yarn(ダイアログエディター)、Jfxr(サウンドエディター)が利用可能になりました。[v5.1.156]
もはやインストール版とブラウザ版に機能的な差はないのではないでしょうかたぶん。
Steam(Steamworks)を一部サポートしました。[v5.2.175]
Steam 公開用のゲームでこの拡張機能を使用すると、Steam が提供する一部のサービスや機能を利用することができるようになります。
なお、現状この機能は実験的でインストール版でのみ利用できるようです。
また、プレビューとパソコン向けのビルドでのみ機能します。
AI にゲームを作成してもらうことができるようになりました。[v5.2.165]
私のエイプリルフールネタが現実にw
生成されるゲームの完成度は、こんな下の方にピックアップされている点から察していただければと思います😅
クラウドプロジェクトを他のアカウントと共有できるようになりました。[v5.2.175]
簡単に共同作業できるようになりました。ただし Startup サブスクリプション(月額 €30)を契約しているユーザーだけですが🤤
Liluo.io は gd.games に変わりました。[v5.1.158]
まぁそもそもなんでそんな名前だったん?という感じですが。
🤓 まとめ
3D 対応、変数構文改善、フォルダ分け機能などなど、すぐに役立つ機能が盛りだくさんですね。
また、随時追加されるので特にピックアップはしませんでしたが、アセットストアの充実っぷりもかなりのものです。
特に制作難度の高い 3D オブジェクトも、まだ充分とは言えないまでも、相当数登録されているので、思い付いたこともササッと試せたりして便利ですよ。
公式ブログでも GDevelop 5.3 のリリース記事が公開されています。
私とは異なる視点で v5.3 についてまとめられているので、そちらもチェックしておきましょう😉
ここで紹介した点以外にも、色々と追加や変更がおこなわれているので、詳しくは GitHub の GDevelop Releases ページをチェック!
……ところで Steam で GDevelop がリリースされるって話どうなったんですかねw
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